上掲写真/函館市中央図書館
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● 歴史的建造物考察
弥生小学校(下の●)は函館市の西部地区という歴史的建物保全地区にある景観形成指定建築物である。
この地区には都市景観形成地域というのがあり、その中の一角が特に伝統的建造物群保存地区と呼ばれている。
伝統的建造物群保存地区には伝統的建造物と言われる重要文化財を含む函館の観光スポット的な歴史的建造物が点在し、都市景観形成地域には景観形成指定建築物という呼び名の異なる歴史的建造物が点在する。 (この定義を先ず理解した上で先に進んでいただきたい)
下の3枚の写真に共通して表示してあるのは●で示した弥生小学校である。
左端は、▲で伝統的建造物を示しており、この▲に外接するエリアが伝統的建造物群保存地区となる。
中央は、▲で景観形成指定建築物を示しており、この▲を含む全域が都市景観形成地域となる。
右端は、上の伝統的建造物▲と景観形成指定建築物▲を共に表示したものだが、弥生小学校●がこれらの中心に位置しているのが分かる。
地図にプロットしてみると歴史の街を標榜する割に歴史的建造物の総量と密度は乏しく、函館市が重点が置いているのが伝統的建造物▲という観光政策と重ねて考えると、この街の歴史的建造物の未来には暗いものがある。
弥生小学校の例から分かるように、自らが指定した景観形成指定建築物を、得心のいく説明もないまま壊すために解除するのを見ても、この街の歴史的建造物は姿を消し続ける運命にあると言って過言ではない。
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▋環境と共生する歴史的建造物
下の50枚の写真は筆者が過去に撮影した中から、無作為に函館の雰囲気を伝えるものを並べたものである。
この中で上下に●色の帯を付けた写真が伝統的建造物群保存地区内にある建物となる。
しかし、残りの写真の殆どが景観形成指定建築物にも指定されていない建物である。
伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物が 「優」 、景観形成指定建築物が 「良」 、その他大勢は運がよくて 「可」 、その殆どが 「不可」 ならぬ評価の対象外に置かれているのが函館市の文化行政の実情である。
一方、五稜郭内で行なわれている箱館奉行所復元工事には約 28 億円という大枚が掛けられ、創建時に約 3000 ㎡あった建物の内の約 1000 ㎡ 分の復元工事が進められている。
もっと言えば、歴史的かつ文化財的考証からその規模決定がされたのではなく、予算の枠内に納まるようにその規模決定がなされたことを知っておく必要があると思う。
箱館奉行所復元工事についてこれ以上の言及は避けるが、ここで言いたいのは旧態依然とした箱物に税金を注ぐことから、函館の街の魅力を底辺で支えている上の 「可」 「不可」 の脇役歴史的建造物の保全と保存に生きた税金を使うべき時だということである。
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